患者さまからの質問

唾液ってどこからでてくるんですか?

こんにちは。
最近よく頂く患者さまからの質問です。

<口の中が乾燥しているんです。唾液ってどこからでてくるんですか?>

広い意味で言うならば、口の中が乾いた感じを訴えるもので、脱水症状や糖尿病でも起きます。

狭い意味で言うならば、出される唾液量が減って口腔粘膜が乾燥する場合を指します。

早速、唾液がどこから出てくるのか、見ていきましょう!

口腔乾燥症(ドライマウス)の原因はさまざま

1、緊張、ストレスによるもの
2、薬を飲んでいてその副作用(向精神薬や血圧を下げる薬、また複数の薬の服用など)
3、口呼吸によるもの
4、加齢によるもの
5、入れ歯が合わない
6、女性ホルモンの低下、更年期障害
7、生活習慣(よく噛まない、喫煙、アルコールなど)
8、唾液腺炎、シェーグレン症候群
9、唾液腺部に放射線治療を受けた場合など

お口の中を潤す唾液は唾液腺と呼ばれるところから出る

お口の中を潤す唾液、それはいったいどこから出てくるのでしょうか?

それは唾液腺というところから出てきます。

唾液腺(Salivary gland)は唾液を分泌する腺で、導管は口腔に開口しています。

大唾液腺として耳下腺(Parotid gland)、顎下腺(Glandula submandibularis)、舌下腺(Glandula sublimgualis)の三大唾液腺があります。
小唾液腺としては口唇腺、頬腺、臼歯腺、口蓋腺、前舌腺、後舌腺、エブネル腺があります。

唾液腺の分泌の割合は、

顎下腺   65%
耳下腺   20%
舌下腺    8%
小唾液腺   7%

 

 

唾液腺はどんな大きさなのでしょうか?

1、耳下腺
最大の唾液腺 三角形
前後径 3~3.5cm, 上下径 4~5cm, 厚さ2~2.5cm, 耳下腺管は長さ5~6cm
2、顎下腺
やや平らな楕円形
長さ2.5~3.5cm, 厚さ約 1.5cm, 長さは5~6cm

3、舌下腺
長さ3~4cm、幅及び厚さは約1cm

この小さなところから大切な唾液は出ています。

唾液にはサラサラとネバネバがある

分泌される唾液の性質も唾液腺によって異なるので、特徴、役割も違ってきます。

その唾液の性質はサラサラ唾液とネバネバ唾液。

サラサラ唾液は耳下腺から、ネバネバ唾液は舌下腺から、顎下腺はサラサラとネバネバ唾液の混合です。

その特徴、役割の違いは以下の通りです。

 

〈サラサラ唾液〉

・副交感神経がコントロール
(食事中やリラックス時に分泌されやすい)

・水、イオンが多く分泌され
唾液アミラーゼなどを多く含む

・唾液腺の漿液細胞から作られる
・食べ物を飲み込みやすくする
・口の中を洗浄して中性に保つ

〈ネバネバ唾液〉

・副交感神経がコントロール
(食事中やリラックス時に分泌されやすい)

・水、イオンが多く分泌され
唾液アミラーゼなどを多く含む

・唾液腺の漿液細胞から作られる
・食べ物を飲み込みやすくする
・口の中の粘膜を守り、保湿する

 

この二つの性質の唾液がバランスよく働いてくれることがベスト。

また、特別な刺激がなくても絶えず分泌される固有唾液と食物による刺激・顎の運動・味覚などによって分泌される反射唾液があります。

<唾液分泌の仕組み>

食物などが口の中に入って溶けだした化学物資によって

舌の粘膜が刺激を受ける

口腔内で一定の食物感覚を得る

これらを知覚する神経が刺激される

それが脳へ伝達されて唾液が分泌される

<唾液のはたらき>は全部で10個ある!

・食べ物を消化するはたらき

・摩擦や摩耗を防ぐため湿ってなめらかにするはたらき

・歯の組織や口腔粘膜を保護するはたらき

・口内の水素イオン濃度の変化を抑えるはたらき

・きれいにするはたらき

・歯が溶けるのを妨げるはたらき

・細菌の繁殖を妨げるはたらき

・化学反応を助けるはたらき

・飲食によって酸性化した口腔内を唾液の緩衝作用により中性に戻し、歯の表面にカルシウムの再沈着を促すはたらき

・生理機能として排泄作用、内分泌作用、体液量調節などもあります。

唾液は大事!

唾液の作用って、たくさんありますね。もし唾液の分泌量が少なくなってしまったら、このはたらきが弱くなってしまします。つまり、食べ物が飲み込みにくくなったり、口の中がネバネバしたり、口が動かしにくくなったりします。

また、虫歯や歯周病にもかかりやすくなり、口臭が強くなる原因にもなります。唾液の中に含まれる酸素の量がなくなってくると、口の中が乾いて唾液がネバネバに濃くなってきます。これは酸欠状態で、においを起こす菌(嫌気性菌)が働いてにおいの物質(揮発性硫黄化合物)を作ります。酸素が大切なのです!サラサラの唾液が多いと口臭は気になりません。

リラックスも大事!

質の良い唾液の流れをスムーズにさせたいですね。唾液が少なくなってしまう口腔乾燥の原因は上記にありますが、この中で改善できることをまず一つ一つ行っていくこと。ストレスや緊張にはまずリラックス。口呼吸はその原因が姿勢なのか、鼻の影響なのか、歯並びの影響なのか、呼吸をチェックして改善していくことも良いです。

食物による刺激・顎の運動・味覚などによって分泌される反射唾液を増やしていくには噛む回数を増やすこと、様々な食感、味覚を楽しむこと。ガムをかんだり固めのものを積極的に取り込んでいくことも良さそうです。唾液腺のところをマッサージするのも良いです。お風呂に入ったときやお風呂あがりで体が温まって血流が良くなっている時に行うとリンパの流れもよくなります。

生活習慣も大事!

生活習慣を見直すことも大切です。喫煙や過度のアルコール摂取も口腔乾燥を引き起こします。毎日の習慣にとりこみやすいこととして、うがいをするときにブクブクうがいをお勧めします。歯磨きの時にブクブクうがいをしていくのも取り入れやすいと思います。ブクブク動かすと、頬の粘膜も動きますが、下あごの粘膜も動きます。色んなところを刺激してスムーズに唾液を出していきましょう。

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